「変な仕事頼んで、悪いねえ～」

小回りがきくと言うか、
頼まれると、やってあげたくなると言うか。
特に、何度も工事をさせていただいたお客さまからは、
「こんな事頼んで、悪いねえ～」と、
確かにちょっと変わった仕事も頼まれます。

今日、仕上げてきた仕事も、
大工の仕事としては、
ちょっと変わった部類に入りますか・・・。

何十年も前、家を建て替えたときに、
昔の家の玄関にあった「くぐり戸」
ずっと、パイプ物置に立てかけてあったのですが、
そのパイプ物置を取り替えるのに外したそうです。
実はこの「くぐり戸」は、亡くなっただんなさんがお気に入りで、
いつかは陽の目を見るようにしたいと思いつつ
かなえられずにあった「くぐり戸」でした。

今回、外してしまって、
「処分しようかなあ～」とも思ったそうですが、
息子さんも「親父が気にしていたからなあ」とも。
結局、わたしのところに、「なんとか取り付けて！」
と依頼が来ました。

玄関脇の鉄骨の柱に付けましたが、

「くぐり戸」の向こうに、庭がのぞいて見えて、
なかなか綺麗な雰囲気になりました。

奥さんも、「これでおばけが出てきても、満足するわあ～」
満足していただいたようです。

実は、奥に見える「目隠し格子」も、3年ほど前に
部屋のサッシの前から、わたしが移動したものです。
一連のつながりで、なかなかいい感じの庭先になったと思います。

「変な仕事頼んで、悪いねえ～」
と言われますが、
こんな感じの仕事、実は好きです。

いろいろ考えて、うまく取り付ける算段も楽しいのですが、
仕事の背景にある、
人間模様と言うか、思い入れと言うか、
そんな、人の気持ちに沿えるような、
そんな仕事が、好きです。

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