先週、現場の足場の上で仕事中、
電話がかかってきました。
Aさん「安曇野市で、築50年の家を買って、
インスペクションしてもらったら、
『基礎にヒビがあるから直した方が良い』
と言われました。
お宅で基礎の修理していますか?」
私「基礎の修理工事はやっていませんが」
Aさん「そうですか・・・・ではいいです」
私「基礎のヒビは、どの程度ですか?」
Aさん「ちょっと待ってください、書類調べます。
幅1.4mmと1.5mmの2本です」
私「築50年だと、鉄筋は入っていないので、
それでその程度のヒビ割れなら、いい方ですよ笑」
それから、少し説明しました。
・基礎のヒビ割れは、修理が難しい。
・それは、強度を上げるためには費用が高くなるから。
・耐震補強でも、基礎の補修はしないことが多い。
・それは、耐震補強では「大地震で倒壊しない」を前提にしていて、
大地震後にそのまま住めることを前提にしていないため。
・基礎が壊れるくらいの大地震なら、耐震補強しても住めなくなる。
・コンクリートのヒビから雨が入って中の鉄筋が錆びる危険はある。
・しかし、たぶん鉄筋の入っていない無筋コンクリートなのでその心配もない。
と、簡単に、順序だてて説明しました。
私が見てきた基礎のヒビで、幅1.4mmと1.5mmの2本は、
かなり少ない方です。
インスペクションしたのは、建築工事をしない設計事務所の方だそうです。
実務をやってないと、経験が少ないと、どうしても安全側で提案します。
その提案で、不安を煽ってしまうのはちょっと疑問。
Aさん「何軒も建築屋さんに電話しましたが、どこも修理工事していない、
と言われて、すごく不安でした。
そんな風に説明してもらえると、少し安心しました」
私「でも、これは、私の主観ですからね。全員がそう判断するわけではありません。
それに、実際のお宅を見ていないので、確定はできません。
ただ、慌てて何か対処するようなことではないと思いますよ」
という事で、もし、心配なことがあるなら、
いつでも電話くださいと言って切りました。
参考に、基礎のヒビ割れの写真です。
私が見た中には、10mm(1cm)以上のヒビもありました。
さすがに、危険ですが、そこまでひどいと、
強度を高める工事もかなり」困難です。
地震が来なくても、沈下の可能性もあります。
*「インスペクション」って、何?
既存住宅の現状を調査する事です。
最近は、中古住宅の販売前に
・売主がする
・買主がする
・不動産業者がする
など、なるべくやってね~~
と推奨されていますが、
実際はなかなか浸透していません。
私も、調査員の資格を持っています。
でも、その方法は、疑問点もあります。
「床下に潜っての調査」「天井裏に入っての調査」
は義務ではありません。
それやらないと、現況調査にならないと思うけどなあ。
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